損失が出ている場合の確定申告 仮想通貨

まず、結論から言うと、年末時点で仮想通貨取引において損失が出ている場合、仮想通貨取引においては確定申告の必要はありませんが、翌年度以降の税額を相対的に低くするためにできることなど、損失が出ている場合においても知っておいたほうが良いことがいくつかあります。

適切な処理をすれば翌年度以降の税額を相対的に低く抑えることが可能

仮想通貨の取引により発生する所得(雑所得)の損失は翌年に繰り越すことができません。損失としてマイナスとなっている分、当年度の所得が減るわけではないので、当年度に多くの損失を出しておくよりは、先に利確をして翌年度以降に発生する可能性のある所得を抑える対策を行うことが望ましいです。そのために、仮想通貨取引により損失が発生した場合で、かつ、含み益がある通貨を保有している場合は利益を確定させて実現損益をできるだけ0に近づけておくことが税金対策につながります

方法としては、含み益のある通貨を売却して、利益を実現させ損失を相殺するという処理をします。通算の損益が変わることは基本的にはありませんが、損失は翌年に繰り越せないので、なるべく損益を0円に近づけるようにすることで無駄な損失をなくすようにします。注意点:移動平均法の場合は売った通貨をそのまま買い戻しても損益に影響しませんが、総平均法では同年度内の買い戻しによって1年間での取得原価が変化するため、意図した結果とは相違してくる可能性があります。こうした点は移動平均法を選択する利点と言えるでしょう。

*1 含み益 :通貨は値上がりしていているが売却せず未だ確定していない利益のこと
*2 取得原価:仮想通貨を取得するときに支払った金額(手数料等含む)
 

処理の具体例

2019年に20万円の(実現)損失があるとして、同時に年末に20万円の含み益があるとします。
 
年内に利益確定の処理をせず年越し後に同じ価格で売却した場合課税される損益
2019年:0円(20万円の損失があるので)
2020年:20万円(20万円分含み益を実現したので)

通算の損益
マイナス20万円(2019年) + 20万円(2020年) = 0円

 
年内に利益確定の処理をした場合課税される損益
2019年:0円(含み益が実現されて損失と相殺)
2020年:0円(取引なし)

通算の損益
0円(2019年) + 0円(2020年) = 0円

このように含み益を確定させることで、通算の損益が同じだとしても、課税される損益に差が出てきます。

損失が出ているときでも正確な損益額を把握することが大切

価格変動の大きい仮想通貨への投資では損失発生リスクは避けられません。しかし、上で紹介したように損失が出ている時にも確定申告や税金対策のためにやるべきことはいくつかあります。そのためには、まずご自身が行った取引からいくら損益が出ているか、現状保有している通貨の価値はいくらなのか適時・適切に把握することが大切になります。

https://www.maneo.jp/media/cr-crypto-tax/

仮想通貨の税区分

税金には様々な区分が決まっていて、その税区分によって利益に対してかかる税金の割合が異なります。

仮想通貨が流行る前の2016年度は仮想通貨の税区分が曖昧でしたが、2017年になって国税庁が正式に「雑所得」で申告するようにと公表して税区分が確定しました。

雑所得は累進課税制なので、利益が大きくなるほど課税額が大きくなります。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円~330万円以下10%97,500円
330万円~695万円以下20%427,500円
695万円~900万円以下23%636,000円
900万円~1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円~4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円~45%4,796,000円

大きく稼いで年間4,000万円以上の利益になると、ほぼ半分が税金となってしまうのですね。

ただ、所得の全額に課税されるわけではなく38万円の基礎控除と各所得に対応した控除があります。

2つの控除金額を差し引いた残りに税率をかけると、納税するべき金額となります。

仮想通貨の利益に対する課税額計算

ここで、例として仮想通貨の利益に対する課税額を計算して見ましょう。

仮想通貨の売買利益が年間で200万円だった場合、納税額を計算すると次ようになります。課税額の計算

2,000,000 – 380,000(基礎控除)- 97,500(控除額) = 1,522,500円(課税対象)
1,522,500 × 10%(税率) = 152,250円

なお、2037年までは「復興特別所得税」として2.1%の加算税があります。

152,250 + 2.1% = 155,447円

納税額は1,000円以下は切り捨てるので、200万円の利益の方は155,000円の納税ということですね。

利益額によって課税金額が大きく変わりますが、あなたの利益額に置き換えて上記の計算で納税する金額がわかります。

ただ、確定申告に必要な利益の計算がわかりにくい部分です。

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